2012年6月8日金曜日

虫こぶ Oak Apple Gall

ここウォルナットクリークでは、公園、遊歩道、車道などのいたるところで、大きく立派なオークの木(Oak Tree)をたくさん見かける。
春・夏は豊かな葉が涼しい木陰をつくってくれるし、秋・冬は葉が落ちて腐葉土をつくり、木の枝の間からは木漏れ日が差す。
オーク(Oak)は、明治時代に誤って“樫の木”と和訳されたらしいけど、正式には楢(ナラ)、この辺りで見かけるのは、和訳ではヨーロッパナラと呼ばれるものらしい。

このオークの木に、ピンポン玉くらいの、薄緑・薄茶色の実のようなものがなるのね。
そして、いつの間にか、茶色や黒に変色して木の根元にゴロゴロ落ちてたりする。
でも、この木は“ドングリ”を実らせるし。
じゃあ、これは一体、何なのよ?

木だけに、気にはなっていたんだけど、調べることもなく、でも、やっぱり気にはなっていて。
去年、父タケオが日本から遊びに来てくれたときも、“あの実のようなものは何?” って聞かれたけどわからないので“そのうち調べてみるね~”なんて言ったきりで。

最近、JoJoと遊歩道を散歩していたとき、やっぱりJoJoも気になるのか、この“実のようなもの”を拾って遊ぶので、やっと“じゃあ調べてみるか~”なんて気になりまして、調べてみました。
このゴルフボールサイズの実のようなものは、
Oak Gall
Oak Apple Gall
Cynipid Wasp Gall
などと呼ばれる、Cynipid Wasp(タマバチと呼ばれるらしい)という種類の虫によってできたGall(ゴール) “虫こぶ”なんだって。
(“ハチ”だけども、刺さないし、人間にも木にもとくに害は無いらしいので、ご安心を!)
 Oak Apple Gall と呼ばれるのは、まるでオークの木にリンゴがなっているようだからなんだって。

“虫こぶ”という言葉、今まで知らなかった。“虫えい”ともいうらしい。

このタマバチが、Oak Tree の葉の組織に卵を産み付け、孵化した幼虫が分泌する物質が何らかの反応を起こして葉の組織が膨れて虫こぶができ、木の養分と一緒に育ってゴルフボールサイズにまで大きくなり、虫こぶの中では幼虫が虫こぶの中身を食べて育ち、やがて蛹(さなぎ)になり、成虫となり自分で虫こぶを食い破り、穴を開けて飛び立っていく。
つまり、タマバチの赤ちゃんの部屋、というわけね~

初めは青く、だんだん茶色になる。
落ちている虫こぶの中は、スポンジのような紙のような、乾いた繊維質で、虫こぶ自体は、発砲スチロールみたいに軽い。

そして、このタマバチというのは、虫こぶを作るのだけが驚きじゃない。
春と秋の2回、卵を産卵するんだけど、春の産卵は、両性生殖(オスとメスによるノーマルな生殖)で、秋の産卵は、メスだけによる単性生殖、なんだそう。
メスだけで産卵できちゃうなら、オスの役割って一体???

【タマバチの一生】
①オスとメス交尾、地上に落ちる
②メスが地中に穴を掘り、Oak Tree の木の根元に卵を産み付ける
③地中で卵から幼虫に孵化、さなぎになるまで1年以上かかる
羽なしのメスだけが、地中で、さなぎから羽化する
⑤春先、これらのメスが木を登り、葉の組織に卵を産み付ける
⑥卵から幼虫が孵化、幼虫が分泌する物質が何らかの反応を起こし、葉の組織が膨れて、虫こぶができる。1匹の幼虫に1つずつの虫こぶが形成される。
幼虫は虫こぶの中で蛹になり、成虫になる(ここでの成虫はオス、メス両方)
⑦6~7月、成虫が虫こぶに穴をあけ、飛び立ってゆく

オスとメスが出会い、またこのサイクルが繰り返される… 

幼虫とか、サナギとか、そんな言葉を目にするのって、子供の頃以来、何十年ぶり。
昔は、カブトムシの幼虫やら、コオロギやら、昆虫が身近なところにウジャウジャいてさ。
なんだか、なつかしい。

ああ、でも、これで、気になっていたことがひとつ解決して、スッキリした~!

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ほんと、初めて見てから気になっていたことがわかってすっきりしたな。よく調べたねー。ありがとう。だけどタマバチという蜂がいるとはね。武

まりりん さんのコメント...

おかげで、ひとつ勉強になりました!
これで、JoJoに“これ何?”って聞かれても、大丈夫!

匿名 さんのコメント...

よく調べましたね 生物学者みたい 何回かよんだのですが難しくて理解できないくらい不思議な生物の世界ですね