作家・山崎豊子が、取材と執筆で8年も費やしたという大作。
第二次世界大戦、侵略戦争、満州植民地化、中国の文化大革命などを時代背景に、ひとりの中国残留孤児(作者は自分の意思で残留したわけではないので遺棄孤児、戦争棄児とよぶべきというが)の青年の波乱万丈の人生を描いた小説。
話の中で、満州にソ連軍が侵攻、満州を防衛していた日本軍はこれら日本人開拓団を見捨てて、撤退、日本軍に見殺しにされた日本人の開拓団移民(男性は徴兵されていたので、主に老人、女性、子供)が、死に物狂いで満州からの脱出をはかるシーンがあって、子供の泣き声で一行全員が敵に見つかるのを恐れて、開拓団の5歳以下の子供を全員殺めなければならないところが頭から離れない。
実際には、ソ連軍だけでなく、日本人に強引に土地を奪われた中国人や、日本軍が行った残虐行為の報復のために、民間人である開拓移民たちがを中国人にも襲われ、略奪・暴行されたらしい。
夜、JoJoの寝顔を見ながら、幼い子わが子を自分の手で殺したり、親子で集団自決したり、そんな恐ろしい時代に生まれなくて本当に良かった、と、つくづく思う。
そして、そんな恐ろしいことが起こるような世の中になってほしくない、と。
ところが、今、日本の自民党が、"天皇を元首に”とか”国防軍創設”とか、日本の軍国主義を復活させるかのような憲法改正案を出してる。
慰安婦問題すら解決しておらず、犠牲者が未だに生存しているというのに。
いったい日本をどうする気なんだろう?
また、日本人が他国の人々を殺すだけでなく、日本人同士でも殺しあうような世の中になるんだろうか。
私達が生まれる前の、ほんの一部の日本人のせいで、多くの日本人が戦争に巻き込まれて、殺し、殺され、そして今の私達、そして、私達の子孫だちが、かつて日本が侵略した国の人たち、そして、その子孫たちに何世代にもわたって、怨まれ、憎まれている。
国レベルで後世にまで禍根を残すようなこと、もう、やめてほしい、ほんと。
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